代償分割という遺産分割の方法

相続のときに相続人間で争いになるのは、いくつかの典型的なケースがあります。

ひとつは、相続人の中で、全く自分の主張を譲らない、頑固な人がいるような場合です。遺産分割協議は、相続人全員の意思が一致しなければ成立しません。10人の相続人のうち、9人が納得して合意していても、ひとりが反対すれば、遺産分割協議は不成立となり、相続手続きを進めることができなくなってしまいます。

もうひとつは、遺産の内容が、相続人間で平等に分割できないような内容である場合です。たとえば、被相続人の遺した財産のうち、価値がるあのが自宅であるマンションなどの不動産のみであり、預貯金、有価証券などはほとんどない、というような場合には、相続人間で、争いが起きやすいと言えます。

なぜかといいますと、相続人間で平等に遺産を分割することが難しいからです。もちろん、相続人全員の法定相続分に応じた共有にすることとして相続することはできますが、そうすると、後日、不動産売却の際には、共有者である相続人全員の同意が必要となります。また、賃貸する場合にも共有者の過半数が必要になります。したがって、いちど共有にしてしまうと、後日相続人間で意見がわかれると、結局動きがとれなくなる可能性があるのです。したがって、不動産を共有にして相続人間のバランスをとる遺産分割の方法は、あまりお勧めできません。
しかし、だからといって、このような状態を避けるために不動産を共有にはせずに、相続人のひとりが単独で相続するとすれば、他の相続人にとってはやはり不公平感があり、納得いかないことになりますから、相続人全員が合意することは難しいでしょう。

このようなことを防ぐためには、不動産を相続する相続人から、他の相続人に対して、代償金を支払うという方法があります。不動産を一人で相続をして得をする代わりに、他の相続人に対して現金などを固有の財産から渡して、バランスをとるという方法です。このような遺産分割の方法を、「代償分割」と言います。→代償分割という遺産分割方法

しかし、代償金を用意できないときには、この方法をとることができません。もし事前に代償金が用意できないことが予想できるのであれば、生命保険を活用するという方法があります。被相続人を被保険者、不動産を相続する予定の相続人を受取人として、生命保険を掛けておきます。そうすれば、相続が発生した際には、不動産を相続する相続人は保険金を受け取ることになりますから、この保険金で代償金を支払えば、相続に関する紛争を避けることができます。

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