遺言書で遺言執行者を指定できる

相続に関するトラブルを経験、目の当たりにしたことがある人でしたら、自分が亡くなった際には、決してこのようなことが起こらないようにと思うはずです。
では具体的に、どのようにすればトラブルを回避することができるのでしょうか。
まず生前にやれる事と言えば、遺言を残すことだと思います。
これまで苦労して築き上げてきた財産を配偶者や子供にどのような割合で相続させたいのか、これを遺言書という形で遺しておくのです。
仮に、これがない場合は、法に定められた配分で、もしくは遺産分割協議でその取り分を話し合いによって決めることになります。
しかし遺言書にこの相続の内容を詳細に示しておけば、こういったトラブルに発生しかねない事態を回避できるだけでなく、自分の希望通りに遺産を譲ることができるのです。
そして、遺言には「遺言執行者」を指定しておくと、遺言の実現の確実性が高まります。
遺言執行者というのは、遺言の内容を実現するために活動します。その地位は、民法1015条に規定がありますが、相続人の代理人とされています。そして、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の権利義務を有します。
たとえば、遺言に、ある銀行の預金はすべて長男に相続させると記載されていたとしても、実際にその遺言を実現するために誰かが銀行で手続きをしなければいけません。その際、遺言中に遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が銀行で長男に預金を引き継がせるように手続きします。
遺言執行者は、相続人や受遺者を指定してもかまいません。法人でも問題ありません。そして、複数を指定することも可能です。
遺言執行者による執行が完了するか、または執行が不能となった場合、あるいは遺言執行者が死亡した場合には、遺言執行者の任務は終了となります。遺言執行者の地位は一身専属権と言いまして、相続の対象とはなりませんので、遺言執行者の相続人が 遺言執行者となるということはありません。
また、遺言執行者は、正当な事由があり、かつ家庭裁判所の許可を得た場合には、辞任をすることができます。また、相続人から解任されるということもあります。一部の相続人と親密にしすぎたために、他の相続人の信頼を得られなくなったようなケースで、相続人による解任が認められた判例があります。

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