自分がいなくなった後に、自分の財産を自分の意志通りに配分したいと考えるのでしたら、遺言書を書き残しておかれることをお勧めします。
ただ書くだけではいけません。書いてあることが誰にも知られなければ意味がないのです。書き記したことを、信頼できる者、できれば2名以上に伝えておきます。
そして遺言の執行者をその中に定めておくことが必要です。執行者は、複数でもかまいません。
書式などは決まっていないのですが、自筆であることが必要で、なおかつその内容をオーソライズしなければ不動産の名義変更や銀行の解約など、具体的な相続手続きに利用することはできません。
一つの方法は、公証役場に出向いてその認定をしてもらうことです。公正証書遺言と言います。
→日本公証人連合会の遺言解説ページ
なお、書いてある内容を変更したい場合はそれもできます。
他には、自筆証書遺言、秘密証書遺言という方式にしたがい遺言書を作成し、家庭裁判所で検認という手続きをうければ、これも相続手続きに利用することができます。
遺言の方式を問わず共通のルールとして、日付が新しいものが有効となるというものがあります。日付の古い遺言書と新しい遺言書で内容が異なる場合、古い遺言の抵触箇所は、取り消したものとされるのです。これは、前の遺言が自筆証書遺言、あとの遺言が公正証書遺言である場合にも、同じことです。
法定相続人には、所定の財産の相続権がありますが、相続権のない者に自分の財産を譲り受けさせる場合には遺贈という形で手続きができるように、遺言書に書いておけば、譲り受け者がその権利を引き継ぐことができるのです。ただし、この場合には、遺留分には注意が必要です。相続人から遺留分減殺請求訴訟を起こされるようでは、受遺者にとって、かえって迷惑なこととなりますので。
自分が生涯に築いた財産をだれに相続させるかは故人の自由であるべきです。
しかし、我が国の民法で法定されていて、遺言がなかった場合は、その人々に決められた割合に応じて遺産の分割が行われます。
配偶者と子供の場合はそれぞれに2分の1ずつ、配偶者と親の場合は、前者に3分の1後者に残り、配偶者と兄弟の場合は、前者に4分の3後者に残りです。
しかし、遺産を受ける人たちが故人を生前大切にしてきたかというと、たいていの場合、個人差があるのが常です。
そこで遺言によって遺産を故人の思いに応じて分配できるようにするわけです。
私の祖父には配偶者としての祖母がもう亡くなっていましたから、祖父の子供としての伯父と私の父が分割する権利の所有者でした。
しかし、祖父は長男の所で余生を送り、病床に就きましたので、特別寄与があったということで、父よりもはるかに多い金額を伯父に残しました。
父は別に文句も言わず、遺産の分割に関する問題は起こりませんでした。