2014年3月アーカイブ

遺言の方式は民法で規定されています。大きく分けて、特別方式の遺言、普通方式の遺言と言う方法があります。特別方式と言うのは、読んで字のごとく、特別な状況(病気や船舶遭難などで、死亡の危険があるとき)において作成する遺言です。そして、普通方式の遺言というのは公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言という3種類があります。

これらの方式のうち、よく利用されるのは、普通方式の遺言で、中でも公正証書遺言と自筆証書遺言がよく利用されます。自筆証書遺言という方式の遺言は、公証人や証人の関与の必要もなく、簡単な方式なのですが、注意点があります。それは、全文を直筆で書くことが要件となっている点です。

手紙などは自筆で書かれることが減り、パソコン全盛の時代ですが、自筆証書遺言に関しては、パソコンで書いたものは、全て無効扱いになってしまいます。字が汚い、字が下手など言ってられませんので、汚い字でも下手な字でも読めるような字になっていればよいのです。はっきりとした字で書きましょう。また、その他の要件としては、作成日付が記載されてること、署名押印があることなどです。

では、その遺言の内容ですが、一般的には、財産を誰に相続させたいというようなものが多いですが、債務の負担について書くこともできます。しかし、債務の相続は、結構複雑な問題です。

たとえば、父が銀行から借りている1000万円の借金について、相続人の一人である母に全て相続させるという内容を遺言に記載しておけば、子供たちは借金を背負うことがないのかというと、そうはいきません。実は、相続人の内部では、この遺言は有効となりますから、子供たちはは母に代わって1000万円を支払えば、母に対して求償(弁償)を求めることができます。しかし、子供たちは、銀行から法定相続分の割合で返済の請求を受けた場合に、遺言の存在を盾に、「母に請求してくれ」ということは、できません。

これは、債務に関する遺言は、相続人間では有効ですが、債権者に対しては、対抗することができないということの帰結です。

このように、遺言の内容は、書いてあるとおりに実現されない場合もあります。せっかく遺言を遺すのですから、作成にあたっては、専門家の意見も聞いて、確実に希望が実現されるような内容の遺言を作成してもらうようにしましょう。

もし妻を残して自分が先立ってしまったという場合のことを考えたことがありますか。
そのようなとき、お子さんがいれば、相続の問題が発生してくることでしょう。
法律からいけば、遺産の半分は妻のものに、残り半分を子供たちで均等にわけるという仕組みになっていますね。
しかし、ご主人と妻との間に年齢差が大きいと、夫がなくなってからのその後の人生は長くなります。
つまり、ご主人が先立たれた場合、妻のその後の生活費がたくさん必要になってくるのです。
そこで、子供たちに遺産を半分もっていかれると妻の生活費がなくなってしまいます。

そのためには、相続に関する遺言をしておくことが一番なのです。
弁護士や専門家立ち会いのもと、公正証書を作成し、法的にも通用するようなものを作っておくことで、その後の妻の生活をまもることができます。
また、老後の面倒を見てくれた子供とそうでない子供に均等に遺産をわけなくてはならないというのも解消できることでしょう。